第50回日本理学療法学術大会

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分科学会 シンポジウム

日本理学療法教育学会 分科学会 シンポジウム4

理学療法教育の新たなる挑戦―Outcome Based Education.

Fri. Jun 5, 2015 6:10 PM - 8:00 PM 第2会場 (ホールC)

座長:日高正巳(兵庫医療大学 リハビリテーション学部理学療法学科)

[S-04-2] 医学教育におけるoutcome-based education(OBE)の影響

大西弘高 (東京大学大学院医学系研究科医学教育国際研究センター)

医学教育領域においては,米国卒後研修認証評価評議会(ACGME)が1999年からOutcome Projectを開始した頃からOBEが知られるようになった。全ての専門領域に共通したアウトカム領域が,①医学知識,②患者ケア,③対人コミュニケーション,④診療に基づく学習と改善,⑤プロフェッショナリズム,⑥システムに基づく診療の6つで示され,これらの領域に対する評価手法も示されるに至った。カナダでは1996年に出されたアウトカムモデルがよく知られているし,英国ではTomorrow’s Doctorで示された教育目標が同様の構造をしている。
OBEとは,専門職の要件を満たすような人材が輩出されているかに関する質管理の考え方に基づいた教育システムの新たな基盤理論と言えるだろう。まずは,アウトカムや教育目標によって専門職に求められている能力が明示され,教育システム全体にそれらが行き渡る必要がある。また,それらの目標が達成できるような学習機会があり,状況に応じて指導やフィードバックがなされる必要がある。さらに,修了時に必要な能力を備えているかに関し,妥当な評価手法で評価する必要がある。
我が国では,医学部分野別認証評価が本格化し始めた2012~13年頃からOBEに関する議論が活発になった。それは,認証評価のプロセスがOBEの考えと基本的に合致しており,OBEへの理解や取り組みなしに認証評価を受審することが困難であることによる。
しかし,認証評価基準と照らし合わせると,特に参加型臨床実習では様々な点でOBEの実施が難しいことを思い知らされる。まずはコンピテンシーを言語化することが簡単ではない,また,現場では患者安全の問題が絡んで,学生が診療責任を高めることが難しい。さらに評価に関してはWork-based assessmentが不可欠だが,誰がどのように行うのかについて具体策が立ちにくい。
このように実施段階では医学教育領域でのOBEはまだまだだが,今後の改善の方向性は見えてきたという段階である。