第50回日本理学療法学術大会

講演情報

分科学会 シンポジウム

日本予防理学療法学会 分科学会 シンポジウム9

これからの介護予防における理学療法士の果たすべき役割

2015年6月6日(土) 17:30 〜 19:20 第1会場 (ホールA)

座長:大渕修一(東京都老人総合研究所)

[S-09-2] 地域包括ケアシステムの構築に向けて~これからの介護予防~

村井千賀 (厚生労働省老健局老人保健課)

団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて,重度な要介護状態となっても,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築の実現を目指す必要があります。今後,認知症高齢者の増加が見込まれることから,認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも,地域包括ケアシステムの構築が重要になります。地域の特性は,高齢化の進展状況をとっても,人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部もあれば,75歳以上人口の増加は穏やかで人口は減少する市町村部もあります。地域包括ケアシステムは,地域の実情を把握している保険者である市町村や都道府県が,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
特に,高齢者が自分らしく地域で暮らし続けるためには,地域や家庭の中で何らかの役割を担いながら生活することが大切であり,たとえ要介護状態になっても誰かのために役立ちたいという高齢者の思いを実現することが「介護予防」において重要な視点です。地域には,元気な方,虚弱な方,認知症の方,要介護状態の方など様々な高齢者が住んでおり,それぞれの果たせる役割を大きくすることが,「介護予防の推進」と「生活支援の充実」につながります。地域の特性を活かしながら,高齢者を年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく,誰でも一緒に参加することのできる住民主体の介護予防活動を地域に展開することにより,住民同士の支え合いの体制を構築することが可能になります。
このような「地域づくり」を推進するためには,保健の知識・経験を有する専門職の関与が必要であり,新しい介護予防・日常生活支援総合事業を活用し,専門職による地域に根ざした活動をより一層推進できるように,保健を担う専門職・関係機関がそれぞれの役割を果たすことが重要です。