第50回日本理学療法学術大会

講演情報

大会シンポジウム

大会シンポジウム1

ウィメンズヘルス・メンズヘルス

2015年6月5日(金) 11:20 〜 13:10 第4会場 (ホールB7(2))

座長:谷口千明(放射線第一病院 リハビリテーション科)

[TS-01-3] 中高齢男性の健康とQOL―メンズヘルス(男性更年期)外来の視点から―

佐藤嘉一 (三樹会病院)

男性におけるライフステージの中で,特に中高年男性の健康とQOLの問題をMen’s Health(男性外来更年期)外来の視点から検討する。
当院では男性更年期外来を2002年に開設し,多くの中高年男性を診断・治療してきた。受診患者の主訴には,明らかな年代的な特徴が認められる。第一は,抑うつ症状を主訴とする精神症状が40-50歳代に多く認められることである。第二の特徴は,女性更年期に特有の症状と考えられていたHot flashや冷え,そしてめまい・耳鳴り・しびれなどの身体的症状を主訴とする症例が60-70歳代を中心に加齢とともに多くなることである。またこれらの精神的・身体的症状の両者が関与すると思われる気力低下・易疲労感を主訴とする症例も多い。これらの特徴は,我が国のMen’s Healthの問題点を現しているものと思われる。つまり,①うつ病などの頻度の多い疾患がプライマリーケアの段階で十分なスクリーニングがなされていないことがある。我々の外来には未診断の大うつ病が20%程度含まれている。②多くの不定愁訴が,これまで十分な医学的着目を得ていなかったことである。その結果として,自分の主訴に対して,どこの科に受診してよいのかが分からず,また受診しても十分な対応をしてもらえないなどの現状がある。
このような状況をふまえ,我々は以下のような方針で診断治療を行っている。①うつ病を含む症例に対する適切な鑑別診断を行うこと。②種々の不定愁訴の病因として,加齢・ストレス・生活習慣病の増加・男性ホルモンの低下など多要因が推測される。男性ホルモン補充やPDE5阻害薬を用いた「心と体のエネルギー」をあげる治療を試みている。これらの結果も含め,中高年男性の健康とQOLの向上のためにMen’s Health(男性外来更年期)外来を通じ何ができるのかについてまとめてみたい。