第50回日本理学療法学術大会

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大会シンポジウム

大会シンポジウム1

ウィメンズヘルス・メンズヘルス

Fri. Jun 5, 2015 11:20 AM - 1:10 PM 第4会場 (ホールB7(2))

座長:谷口千明(放射線第一病院 リハビリテーション科)

[TS-01-2] ライフステージにおけるウィメンズヘルスと骨盤底リハビリテーション

関口由紀1,2 (1.女性医療クリニックLUNAグループ・LUNA骨盤底トータルサポートクリニック, 2.横浜市立大学大学院医学部・泌尿器病態学講座)

ウィメンズヘルスと言うと,20代~40代の婦人科疾患(子宮癌・子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍)と乳腺疾患(乳がん等)を思い浮かべることが多い。最近は,40~50代女性の更年期障害にもスポットライトがあてられるようになってきた。また若い年代の女性に関しては,甲状腺機能障害のチェックも重要である。一方女性は,50歳以上もさらに長く生き続けるわけであるから,ウィメンズヘルスも,50歳以上の女性の健康に関しても注目する必要がある。
50歳~65歳は,女性にとって生殖をほぼ終了し,月経のトラブルから解放され,自由を謳歌できる楽しい時期であるが,来たるべき高齢期を健康に過ごすための大切な準備期とも考えられる。まずは癌死しないために,癌検診の習慣をつける必要がある。さらに脳血管障害・心臓病等を発症させる動脈硬化を進行させないために生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症)を予防・治療する必要がある。さらに65歳以上になっても,痛みなく動ける肉体を維持するために,骨密度管理もかかせない。骨密度維持するためには,全身の筋肉運動が必要である。
筋肉維持のための運動のうち,女性に特に必要なのは,骨盤底筋群の機能の維持である。骨盤底筋群は,骨盤内臓器(膀胱・子宮・小腸・直腸)の支持とともに,排泄機能を維持し,その機能が障害されると尿失禁・便失禁・頻尿・便秘など症状が現れる。骨盤底筋群の理学療法は,骨盤底リハビリテーションと呼ばれ,欧米では,骨盤底機能障害の治療において重要な位置をしめる。LUNA骨盤底トータルサポートクリニックでは,骨盤底リハビリテーション部を併設し,理学療法士・看護師の経膣触診をもちいた骨盤底筋群障害の判定と治療を,個別の患者に行っている。今回は,ライフステージにおけるウィメンズヘルスの概説とともに,この骨盤底リハビリテーションの実際に関しても言及したい。