第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

日本整形外科学会 合同シンポジウム1

超高齢社会における健康長寿の実現と運動器対策

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 3:40 PM 第1会場 (ホールA)

座長:村永信吾(亀田総合病院 リハビリテーション事業管理部), 中村耕三(日本整形外科学会前理事長/国立障害者リハビリテーションセンター)

[TS-03-4] 日本運動器理学療法学会における運動器対策とエビデンス構築に向けて

木藤伸宏 (広島国際大学総合リハビリテーション学部)

日本は超少子高齢社会(高齢者人口3,163万人,高齢化率24.8%)であり,2050年ころに高齢者の比率が40%に達すると予測されている。加齢に伴う運動器疾患,それが原因となる要介護高齢者の増大は深刻な社会経済的問題を引き起こしている。そのような背景のもと,運動器疾患とそれに引き続いて起こる活動制限・参加制約の予防と改善は国家を挙げての緊急課題である。この状況の中で運動機能障害に対する治療と障害学にもとづく問題解決能力を有する医療専門職は重要や役目を果たすと考える。理学療法士が上記の分野で職能を発揮するためには,卒前・卒後教育の大規模な改革,問題解決のために治療学と障害学を基礎学問として根拠に基づく実践を行う職種であるという意識改革が必要である。日本運動器理学療法学会は昨年度発足し,そのステートメントを以下に示した。学会として多くの課題を抱えているが,私は運動器疾患を有する患者が,どこにいても,誰が理学療法を実践しても,最低限の質を保証できる評価・治療体系の確立と普及(卒前教育と卒後教育も含む)に全力で取り組みたい。
日本運動器理学療法学会のステートメント:運動器とは,骨,軟骨,靭帯,腱,筋膜,骨格筋,神経系,脈管系などの総称であり,身体の構成要素としてそれらの機能的連合によって運動と身体活動を担う。運動器理学療法とは,運動器の機能障害に対する検査・測定を介し,統合と解釈に基づく治療,および関連する活動制限や社会的活動への不参加の改善を目的とした一連の過程を示す。それらの事によって,国民が健康で活動的な心身機能の維持及び改善を目指す理学療法の1つの領域を指す。その範囲と適応は,運動器外傷や運動器障害の発生予防,フィールドや外来診療における保存的治療,そして整形外科手術後療法に留まらず,運動器系検診や障がい予防のための一連の教育的アプローチと社会参加のための環境整備にまで及ぶものである。