第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

JICA 合同シンポジウム3

理学療法の国際協力

Sat. Jun 6, 2015 10:15 AM - 12:05 PM 第3会場 (ホールB7(1))

座長:丸山仁司(国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-07-1] 国際協力の潮流

戸田隆夫 (国際協力機構(JICA)人間開発部)

2014年は日本が国際協力/政府開発援助(ODA)を開始して60周年であったが,その間に国際協力の潮流は大きく変化している。近年の特徴としては,新興国の経済成長,新たな開発援助の担い手としてのこれら新興国や民間企業の存在の増大,国内や域内の格差の拡大等が挙げられる。また,今年はミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限であり,残された課題に取り組みつつ,2015年より先の国際開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)の策定に向けた議論が進んでいる。
このような状況において,二国間援助機関であるJICAが果たすべき役割は大きく,例えば,経済成長の陰で拡大しつつある格差の是正,貧困や環境,防災といった地球規模課題への対応,平和構築と社会の安定の促進等がある。そして,民間企業や団体を含む多様なパートナーとの連携が不可欠となってきている。地球規模課題や平和構築に向けた貢献は,日本の国家安全保障戦略とも合致しているほか,日本の企業を含む官民連携の重要性は,日本再興戦略や国際保健外交戦略でも言及されている。
また,JICAのビジョンである「すべての人々が恩恵を受ける,ダイナミックな開発」,また,その実現に向けた使命の一つとして位置付けている「人間の安全保障」は,ポスト2015年開発アジェンダの目指す方向とも一致している。
開発課題が複雑化し,開発の担い手が多様化する中においても,一人ひとりの人間を中心に据えて,生存・生活・尊厳を脅かす恐怖や,貧困,社会サービス,基礎インフラの欠如のような欠乏の脅威から保護し,自ら対処する能力を強化することで,個人の自立と社会づくりを促す,という「人間の安全保障」と,多様性と人権を尊重する「インクルーシブな社会」の実現の重要性は変わらない。真の意味でインクルーシブな社会となるには,障害者を含む多様な人々の参加が不可欠であり,JICAの協力においても引き続き重視していく。