第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

JICA 合同シンポジウム3

理学療法の国際協力

Sat. Jun 6, 2015 10:15 AM - 12:05 PM 第3会場 (ホールB7(1))

座長:丸山仁司(国際医療福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-07-3] JICAボランティアにおける理学療法士の活動

渡邊雅行 (国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局)

JICAボランティア事業は,①青年海外協力隊,②シニア海外ボランティア,③日系社会青年ボランティア,④日系社会・シニアボランティアの4つからなり,日本政府の政府開発援助(ODA)予算によって実施されている。2015年は1965年ラオスに初代青年海外協力隊員が派遣されてから50周年に当たり,現在までに39,000人以上が参加している。また,JICAボランティア事業全体の参加者は46,000人以上にも及んでいる。JICAは開発途上国からの要請に基づき,それに見合った技術・知識・経験を持ち,「開発途上国の人々のために活かしたい」というボランティアを募集し,選考,訓練を経て派遣している。①開発途上国の経済・地域,復興への寄与,②友好親善・相互理解の深化,③国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元の3つをこの事業の目的としている。
理学療法士については,1979年に2名がコスタリカに派遣されて以来,2014年11月末までに456名が青年海外協力隊に参加し60か国で活動している。また,シニア海外ボランティアには12名の理学療法士が参加した。配属先としては,病院等の医療機関,高齢者や障害児・者のための社会福祉施設,学校,コミュニティ・ベースド・リハビリテーション(CBR)や福祉関係NGO等があげられる。また,無償資金協力で建設されたリハビリテーションセンターや,技術協力プロジェクト関連の施設や地域に派遣される場合もある。
任国の活動には,臨床活動や技術移転,家族や実習生,CBRワーカーへの指導,勉強会開催や政策提言なども含まれる。海外で経験を積むことは深く人間や文化を考えるきっかけとなり,臨床家としての成長につながる。帰国後に災害支援活動に参加するJICAボランティア経験者も多い。「世界に笑顔を届けるシゴト」を通して国際協力への第一歩を踏み出す理学療法士が増えることを強く望んでやまない。