第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

日本集中治療医学会 合同シンポジウム7

早期リハビリテーションを安全かつ確実に行うために

Sun. Jun 7, 2015 11:40 AM - 1:30 PM 第2会場 (ホールC)

座長:眞渕敏(兵庫医科大学病院 リハビリテーション部), 小幡賢吾(岡山赤十字病院 リハビリテーション科)

[TS-15-3] 早期理学療法―今,何を成すべきか?―

眞渕敏 (兵庫医科大学病院リハビリテーション部)

近年,急性期重症患者のICU管理において,2010年に提案されたABCDEバンドルや2013年に策定されたPADガイドラインというケアプランが提唱され重要視されている。ABCDEバンドルとは,医原性リスクの低減のためのA(Awakening):毎日の鎮静覚醒トライアル,B(Breathing):毎日の人工呼吸離脱トライアル,C(Coordination):AとBを調整する適切な鎮静剤の選択,D(Delirium monitoring):せん妄の管理,E(Early mobility/Exercise):早期離床のケアプランの組み合わせ策である。PADガイドラインは,P(Pain):痛み,A(Agitation):不隠,D(Delirium):せん妄のケアであり,痛みを定期的に評価し予測できる痛みは事前に鎮痛し,不隠には浅めの鎮静で過剰鎮静を避け,せん妄の定期的なモニタリング,早期離床,環境・睡眠調整が推奨されている。両者を理学療法の視点から見ると共通するKey wordsは早期離床とせん妄であり,2009年Schweickertらの人工呼吸器装着重症患者に対する早期からの理学療法の有効性の報告からも明らかになっている。ICU-AW(ICU-Acquired Weakness:ICU神経筋障害)やICU-AD(ICU-Acquired Delirium:ICUせん妄)など様々な病態のリスクを考慮し可及的早期から積極的な離床や四肢の運動をはじめとする理学療法は必要不可欠で,唯一のせん妄予防策として推奨される根拠となり,ICU患者の予後改善(人工呼吸器からの離脱促進,ICU滞在日数の短縮,死亡率低下,認織能力の改善,ADL能力の改善など)に貢献している。しかし,その一方でICUにおける早期理学療法(リハビリテーション)は,未だに経験的に行なわれていることが多く旧態依然とした治療や体制で実施されている現実がある。集中治療領域において多職種の連携と協働のもとで認知された質の高い早期理学療法(リハビリテーション)を展開するためには,「今,何を成すべきか?」各シンポジストと共に一石を投じたい。