第50回日本理学療法学術大会

講演情報

大会シンポジウム

大会シンポジウム12

理学療法の未来 クロージングシンポジウム―これからの理学療法の可能性への挑戦―

2015年6月7日(日) 15:20 〜 16:40 第2会場 (ホールC)

座長:長澤弘(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部リハビリテーション学科), 山田千鶴子(専門学校社会医学技術学院 理学療法学科)

[TS-19-3] 多様な疾病・障害への対応に向けて

横田一彦 (東京大学医学部附属病院リハビリテーション部)

厚生労働省の人口推計によれば平成27年2月における我が国の総人口は1億2,697万人とのことです。そのうち,65歳以上の方は3,334万人,高齢化率は26.3%で4人に1人を上回る数字となっています。20年前の平成7年は14.5%,10年前の平成17年は20.2%でしたので,その進展の早さは明らかです。10年後には30%を超えると予測されています。
医学・医療の発展は,効果的な薬物の開発や安全な外科的治療を生み出し,我が国の高齢化の一つの原因であるとともに,疾病構造の変化をもたらしました。1980年代初めに死因1位が脳血管疾患から悪性新生物に代わり,その後心疾患も2位を占めるようになりました。現代ではこれらの病気の基礎疾患とも言える生活習慣病への対応の重要性が指摘されています。
理学療法の実践で患者さんに相対する時,この「高齢化」や「高度医療(医療技術の進歩)」に関係して,より複雑な疾病・障害構造を感じることも多いのではないでしょうか。疾患自体の病勢の影響に加えて,治療の侵襲などにより全身体力消耗の激しい方も多いと思います。これらに適応し対応できるような準備をしていく必要があると考えます。障害への対処だけでなく,疾病ごとの障害の精査,疾病(治療)の特徴に応じた対処も,これからの理学療法士は行っていかなければなりません。
急性期リハビリテーションの重要性はこれまでも指摘され,多くの実践の報告がなされています。急性期リハビリテーションは目標到達までの時間的短縮効果のみではなく,生命的予後や生活の質の向上にも寄与します。今後はさらに急性期治療と並行して進むリハビリテーションが当たり前のように認知されることが必要であると考えます。