第50回日本理学療法学術大会

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ワークショップ

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学会版徒手筋力検査法の開発と関節可動域評価指針の作成に関する中間報告

Fri. Jun 5, 2015 10:10 AM - 12:00 PM 第6会場 (ホールD7)

座長:藤澤宏幸(東北文化学園大学 医療福祉学部リハビリテーション学科)

[W-01-2] 学会版徒手筋力検査法の開発

中山恭秀 (東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科)

臨床現場では、筋力強化の見込や病棟もしくは院内における歩行自立の判断・許可などについて、理学療法士に意見が求められることはごく一般的なこととなっていると感じている。我々は、養成校における教育から、特に関節可動域測定と徒手筋力検査に関する時間を多く割き、理学療法評価学を学んできている。様々な職種が医療・福祉・健康増進の現場に混在する中で、理学療法士が最も筋力を評価しており、その細かい変化や特徴について捉える専門家であるということは自負してもいいだろう。そして、日本が世界的に最も理学療法士が多い国となったことから、日本の理学療法士からの情報発信はさらに望まれることになる。そのような中で、この記念大会における学会版MMTの報告を行うことは非常に意味があることだと考えている。
学会版MMTでは、広く利用されているダニエルらの方法を参考に関節運動を検査の単位とし、グレード3を基軸に据えている。また、臨床的観点から“腹臥位”の検査を他の体位で検査できるように工夫した点、重力の影響を考慮する運動と必要のない運動でグレーディングスケールをわけたことなどがダニエルらの方法と大きく異なる点である。加えて、体表から筋収縮が触知できるかを理学療法士の解剖研究者が再度確認している。そして、約2年にわたる草案の作成と検討、複数の施設における検者間信頼性の確認、患者内におけるグレーディングの順序性などを確認した。理学療法士による評価が理学療法の治療的根拠(EBPT)の構築を進めるツールとなるために、学会版MMTが今後も検討され、広く利用されるようになることを期待する。そして今後、日本理学療法士学会などでの報告を基に、評価方法のエビデンスを確認できるようになることを願っている。