第50回日本理学療法学術大会

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ヤングインパクトプレゼンテーション

ヤングインパクトプレゼンテーション1

Fri. Jun 5, 2015 12:30 PM - 1:30 PM 第12会場 (ガラス棟 G701)

座長:林典雄(中部学院大学 人間福祉学部)

[Y-01-2] 超音波診断装置を用いた腰部と頸部周囲の筋厚測定に関する研究活動

石田弘 (川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科理学療法専攻)

平成25年度の国民生活基礎調査の有訴者率では,男女とも腰痛と肩こりが上位を占めており,腰部と頸部の障害予防・改善は理学療法士が取り組むべき重要な問題といえる。近年,特に腰部周囲筋の機能や構造の理解を目的に超音波診断装置を用いた筋厚測定に関する研究が盛んに行われ,筆者も4年前から研究機器の一つとして使い始めた。以下,①腰部と②頸部周囲の筋厚測定の際に生じた問題と筆者の研究概要について述べる。
①腰部周囲の研究開始時には,超音波診断装置で得られる画像がプローブ操作(位置,傾き,接触圧)に影響を受けることを強く感じた。そこで,位置と傾きを固定し接触圧を調節できる独自のプローブホルダーを作成し,測定技術の向上を図ることから研究が始まった。その後,腰部を安定化させる腹部筋群が呼気筋であることに着目し,呼気を腰部安定化運動に応用できるかを検討した。その結果,腰部安定化運動として代表的な腹部引き込み運動に比べ,最大呼気時の腹横筋の動員は大きいことが分かり,呼気の腰部安定化運動への応用の可能性が示せた。
②頸部周囲の研究開始時には,頸部深層屈筋群の鮮明な画像化の難しさを痛感した。腹横筋と比較して,頸部深層屈筋群の筋厚測定の信頼性や妥当性を示した研究は少なかったこともあり,独自の手法として測定する高位や筋厚を示す指標を考案し,測定技術の向上を図った。その後,頸部深層屈筋群の筋厚と頸部の姿勢との関係を検討した。その結果,頸部深層屈筋群の筋厚は,頭部前方位姿勢や頭頸部屈曲運動中の胸鎖乳突筋の筋活動と相関し,頸部の姿勢に関連することが示せた。
今後は,若年健常者を対象とした研究に加え,他の年代や疾患を有する対象者で腰部と頸部周囲筋の機能や構造の理解を深めていきたい。