2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)

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[2O1-J-13] AI応用: 金融ダイナミクス

2019年6月5日(水) 09:00 〜 10:40 O会場 (1F 展示ホール左奥)

座長:倉橋 節也(筑波大学) 評者:米納 弘渡(名古屋大学)

09:20 〜 09:40

[2O1-J-13-02] 株式とETFの裁定取引にかかるコストと流動性の関係 --- 人工市場によるシミュレーション分析 ---

〇水田 孝信1 (1. スパークス・アセット・マネジメント株式会社)

キーワード:ファイナンス、人工市場、マルチエージェントシミュレーション

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託)は手軽な分散投資を提供する商品として,近年,投資家に普及してきている.しかし,一部のETFは注文量が少なく取引したいときに適切な価格で取引しづらい状況になっていた.そのため取引所によっては,裁定取引の手数料を引き下げるなどの売買を増やそうとする制度を導入する場合がある.しかし,裁定取引にかかるコスト(必要な利益も含む総合的なコスト)によってETFや株式の流動性がどのように変化するのか,そのメカニズムはどのようなものなのかといったことは分かっていない.そこで本研究では,2つの株式とそれら合計と同じ価値のある1つのETFという3つの証券があり,これらの証券間の裁定取引を行うエージェントを実装した人工市場モデルを構築した.そして,株式とETFの裁定取引にかかるコストによって流動性がどのように変化するかを調べた.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.