2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)

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[1H3-OS-8a] 金融・会計・経済における情報学

2025年5月27日(火) 13:40 〜 15:20 H会場 (会議室1003)

オーガナイザ:中川 慧(野村アセットマネジメント),平野 正徳(Preferred Networks),坂地 泰紀(北海道大学),酒井 浩之(成蹊大学),水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント),星野 崇宏(慶應義塾大学)

14:00 〜 14:20

[1H3-OS-8a-02] チャートパターンの発生は自己成就的予言なのか?

〇酒田 隼門1、植田 一博2 (1. 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府、2. 東京大学・大学院総合文化研究科)

キーワード:行動ファイナンス、テクニカル分析、自己成就的予言

テクニカル分析は多くの投資家に使われている. その一つに、チャートの幾何学的特徴を用いるチャートパターン分析がある. パターンが生じる原理には幾つかの説明があるが, この研究では過去の様々な行動ファイナンス研究で触れられてきた自己成就的予言(self-fulfilling prophecy)に着目し, 多くの投資家がパターンの完成を期待した取引を行うことでパターンが作り出される, という仮説を新たに検証した. 代表的なチャートパターンであるヘッドアンドショルダーを対象とし, S&P500, BTC/USD, EUR/USDにおける分析を行った結果, (1)パターンの出現頻度が同様の価格分布から生成されたランダムウォークを一貫して上回ること, (2)多くの系列で, パターン形成前から出来高が増加傾向を示すことが確認された. いずれも仮説を支持しており, パターンの完成前に行われた取引が, パターンを作り出すよう値動きを誘導した可能性が示唆される. しかしこの検証だけでは, 出来高の変動と値動きの因果関係が明らかでない. これを解消するために, 今後は人工市場を用いたエージェントベースのアプローチを採用することが望ましい.

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