13:30 〜 16:00
〇下山 淳一1 (1.青山学院大学理工学部)
講義内容:銅酸化物高温超伝導体の無機化合物としての特徴は、CuO2面を含む層状の結晶構造を有すること、構成元素数が多いこと、部分置換可能な元素も多いこと、金属組成と酸素組成に不定比性があることである。一方、超伝導体としての特徴は、臨界温度が高いこと、上部臨界磁場が高いこと(=コヒーレンス長が短いこと)、大きな電気的磁気的異方性を有すること、超伝導がd波対称であることである。これらの結果、結晶粒間の弱結合の課題が生じ、またピンニング力も本質的に弱い。加えて上記の不定比化学組成が超伝導特性に大きく影響する。このような高温超伝導体の性質は金属系超伝導体とは大きく異なり、材料開発の戦略や手法も異なる。高い臨界電流特性を高温超伝導材料で実現するには、まず結晶成長/結晶配向制御技術が不可欠であり、化学組成の精密制御も極めて重要な技術である。発見から30余年を経た現在、線材、バルク、薄膜として高温超伝導材料が使われ始めているが、これらは様々な基礎研究成果、材料化研究開発成果に立脚したものである。本講座ではこれらについてわかりやすく紹介し将来展望も述べる。