2019年第80回応用物理学会秋季学術講演会

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[21a-F211-1~8] 数理がひもとく自然・生命現象と知的計算能力

2019年9月21日(土) 09:00 〜 12:50 F211 (レクチャーホール)

葛西 誠也(北大)、成瀬 誠(情通機構)

09:00 〜 09:30

[21a-F211-1] シンプルな神経系における「演算」と「因果律」

木村 幸太郎1,2、温 琛涛1 (1.名市大システム自然科、2.理研AIP)

キーワード:脳機能、光学的測定、コネクトーム

脳における情報処理は、神経細胞のネットワークのどのような活動によって生ずるのであろうか? 線虫C. エレガンスの脳はわずか200個弱の神経細胞で構成され、「完全な神経回路構造(コネクトーム)」が解明されている唯一の動物種である。解析が容易なC. エレガンスを研究対象にすることによって、個体レベルでの脳機能には大きな違いがあるが、ヒトにも共通する基本的脳機能実現のための細胞/遺伝子メカニズム解明が可能である。我々は、C. エレガンスの200個弱の全脳神経活動を同時にイメージングし、この測定結果から、神経細胞相互の活動の関連を数理モデル化している。従来の全脳活動研究は、そのほとんどが主成分分析による次元圧縮か相互相関による比較的単純な関連の抽出であるが、我々は精度の高い機械学習モデルの生成に成功し、現在そのモデルを利用して神経細胞活動の「因果関係」の推定を目指している。