2023年第70回応用物理学会春季学術講演会

講演情報

一般セッション(口頭講演)

3 光・フォトニクス » 3.11 ナノ領域光科学・近接場光学(旧3.12)

[17a-A305-1~9] 3.11 ナノ領域光科学・近接場光学(旧3.12)

2023年3月17日(金) 09:00 〜 11:30 A305 (6号館)

内山 和治(山梨大)、梶原 優介(東大)

10:30 〜 10:45

[17a-A305-6] プラズモン-分子エキシトン結合系が放射する超高速表面増強蛍光を用いた量子電磁力学のAP項の寄与の検証

伊藤 民武1、山本 裕子2 (1.産総研健医工、2.北陸先端大)

キーワード:プラズモン、表面増強ラマン散乱、量子電磁力学

量子電磁力学において光と物質の相互作用はAP項とA2項で記述される。双極子近似を用いるとAP項は光吸収や光放射に対応しA2項は光散乱や回折に対応する。ラマン過程は光吸収と光放射で記述されるため、二つのAP項の積で表される。しかし表面増強ラマン散乱(SERS)は金や銀のナノ粒子凝集体の間隙数ナノメートルの領域に局在した電磁増強効果でよって引き起こされるため、双極子近似の適用は自明ではない。そこで本研究では銀ナノ粒子二量体から放射されるSERSとその背景光である表面増強超高速蛍光を利用して電磁増強因子のスペクトルを導出し、二量体の弾性散乱スペクトルや吸収スペクトルと比較を行った。その結果、電磁増強因子スペクトルは吸収スペクトルとより良い相関を示した。この結果はSERSや超高速蛍光はAP項によって引き起こされていることを示している。