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[II29-28] 泌乳最盛期における定時人工授精の受胎性に及ぼす生理的要因の検証
【目的】近年,牛群の繁殖成績の向上を目的として分娩後早期からの定時人工授精(TAI)の実施が試みられているが,受胎成績に及ぼす要因についての報告は少ない.そこで,周産期牛の生理状態と泌乳最盛期におけるTAIの受胎性との関連について調査した.【方法】ホルスタイン種乳牛22頭(初産11頭,経産11頭)を供試し,分娩後64-70日にOvsynch+CIDR法による排卵同期化処置を開始し,分娩後74-80日にTAIを行った.供試牛を授精結果から受胎群(n=13)と不受胎群(n=9)に分け,分娩前後のDMI,BCS,泌乳成績,血液生化学値およびルーメン液性状を比較した.統計処理は群と産次を主試験区,週次を副試験区とした分割区法で行った.【結果】両群のDMIに差は無かったが,不受胎群では受胎群に比べて分娩後のBCSの低下幅が大きく,血中Albは低く推移し,負のエネルギーバランス(NEB)の亢進所見が認められた.また,不受胎群ではルーメン液中の総VFA濃度が高く,pHは低く推移した.さらに,不受胎群では分娩後2,3週のγ-GTPが高くなった.このことから,不受胎群では,VFA利用効率の低下によるNEBの亢進に伴い体脂肪が動員されたことで慢性的な肝機能低下が起こり,TAIの受胎性に悪影響を与えたと考えられた.