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[II29-29] 春の放牧移行期における放牧馴致が乳牛の食草量,血液および反芻胃内性状に及ぼす影響
【目的】舎飼期から放牧飼養への移行初期には一時的な乳量や体重の減少が起こる.そのため放牧への馴致が推奨されているが食草量や栄養素代謝への効果は明確ではない.本報告では,春の放牧移行期における放牧馴致が乳牛の食草量,血液および反芻胃内性状に及ぼす影響を検討した.【方法】本試験は,反芻胃カニューレ装着非泌乳牛8頭(4頭×2群)を用い4月29日から5月29日まで実施した.全頭を5月8日からイネ科主体草地1haに昼夜放牧し,1群は4月29日から1週間1日4時間の馴致放牧を実施し(馴致区),もう1群は初日から昼夜放牧に供した(対照区).放牧開始後1週間は毎日,その後は3および4日おきに血液および反芻胃内溶液を採取し,同時期に食草時間および食草量を測定した.【結果】昼夜放牧開始後1週間,馴致区の食草時間および食草量は対照区と比較して高く,特に直後3日間は2倍以上高かった.昼夜放牧開始2週目以降は食草時間および食草量に処理間で差はなかった.昼夜放牧開始後1週間,馴致区は体重を維持したのに対し,対照区は約50kg減少した.昼夜放牧開始後1週間は対照区と比較して馴致区の反芻胃内pHは低く,アンモニア態N濃度および総VFA濃度は高かった.昼夜放牧開始後1週間,対照区と比較して馴致区のBUN濃度は高く,NEFA濃度は低かった.昼夜放牧開始2週目以降は,血液および反芻胃内性状に処理間で大きな差はなかった.