[P29-04] 飼養環境の異なるフィステル装着牛のルーメン液による粗飼料のin vitro NDF消化率の比較
【目的】粗飼料の繊維消化速度の測定誤差要因の特定に向けて，in vitro NDF消化試験に用いるルーメンフィステル装着牛の飼養環境の違いが分析値へ及ぼす影響について検討した．【方法】ホクレン実証農場で飼育されるホルスタイン種泌乳牛（TMR給与, DMI:25kg/日，粗濃比54:46）と道総研畜試でのホルスタイン種乾乳牛（乾草飽食，圧ペンとうもろこし2kg/日，大豆粕1kg/日）のルーメン液を朝の給餌前に採材し，Mcdougall (1948)の方法に準じて，30，48，120，240時間の培養時間でin vitro消化試験を行った．培養後の未消化物をガラスるつぼに回収し，aNDFom（亜硫酸ナトリウムなし，耐熱性α-アミラーゼあり）を測定した．試料として，道内で収集したとうもろこしサイレージ6点，牧草サイレージ5点，ヘイレージ1点，青草1点の乾燥粉砕物を用いた．各試料あたり1～8回程度の測定した未消化NDF含量について，線形混合効果モデルに当てはめ，ルーメン液の違いによる効果（固定効果）について検討した．【結果】各培養時間でのルーメン液の効果の差（畜試－ホクレン実証農場）は0.13～0.58ポイントとわずかであった．フィステル装着牛の飼養環境は，NDF消化速度の測定誤差の大きな要因ではないことが示唆された．