[P29-11] 低脂質のユーグレナ給与がヒツジの消化率,窒素出納およびメタン発生量に及ぼす影響
【目的】反芻家畜の消化管からのメタン生成を抑制することは,反芻家畜の飼料利用効率の改善と地球温暖化の抑制に貢献するといえる.演者らは,ユーグレナ粉末を大豆粕のかわりにヒツジに給与した結果,消化管からのメタン発生量は抑制され,窒素の利用効率は増加することを観察した.ユーグレナがメタンを抑制する要因として,脂肪含量が高いことが考えられる.そこで本研究では,低脂質のユーグレナをヒツジに給与する代謝試験を行い,ユーグレナが反芻動物消化管からのメタンを抑制するかどうかを検証した.【方法】動物実験にはヒツジ4頭を用い,クレイングラス乾草および配合飼料を乾物で7:3の比率で混合したものを給与する対照区,および対照区の配合飼料を低脂質ユーグレナで置き換え,飼料中のユーグレナの混合比率がそれぞれ10%,15%および20%となるような試験区を設定した.実験は4×4のラテン方格法に従って,各試験期は観察期を7日間,馴致期を7日間,全糞尿採取を行う消化試験期を5日間および呼吸試験期を2日間とした.【成績】低脂質ユーグレナの粗脂肪含量は8.68%であり,以前の試験で用いたユーグレナの15.35%より低かった.20%給与区は,対照区よりも窒素の摂取量は有意に高かったが,出納には影響はみられなかった.濃厚飼料をユーグレナに置き換えたことによる飼料の消化率およびメタン排出量には,差はみられなかった.