[P29-10] 海藻の摂取が黒毛和種牛の糞中IgA濃度に与える影響
【目的】肉用牛の生産現場において,下痢症をはじめとする疾病に対する予防・治療薬として抗菌剤が広く使用されている.一方で,食の安全性に対する意識の高まりなどから,天然素材を活用した免疫力向上による疾病発症リスクの低減に関する取り組みが進められている.このような取り組みの一つとして本研究では,天然素材である海藻の摂取が牛の免疫能に与える効果について,海藻を含有する市販飼料を摂取している黒毛和種牛の糞中IgA濃度から検討した.【材料および方法】供試動物には,海藻含有飼料を摂取している黒毛和種牛群20頭および海藻飼料を摂取していない黒毛和種牛群25頭の計45頭(雄13頭,雌32頭;3~213ヶ月齢)を用いた.供試牛から直腸糞または排泄直後の新鮮糞を採取し,IgA濃度,水分含量およびpHを測定し,得られた値について両群間で有意性を検定した.【結果および考察】糞中IgA濃度は,海藻を含有する飼料を摂取している牛群が摂取していない牛群に比べ有意に高くなった(P<0.05).また,糞中水分含量は海藻を含有する飼料を摂取している牛群が摂取していない牛群に比べ有意に低くなった(P<0.01).このことから,海藻の摂取により黒毛和種牛の腸管免疫能が向上することが示唆された.