[P29-12] ルーメン微生物群集による植物系バイオマス分解過程における多糖分解酵素活性の推移
【目的】ルーメン微生物群集は多糖分解酵素を分泌して植物系バイオマスの構成成分である多糖を分解するが,そのメカニズムには不明な点が多い.本研究はin vitro 環境のルーメン微生物群集へモデル基質を与え,多糖分解特性および多糖分解酵素活性の挙動を解析した.【方法】ルーメン液は搾乳牛から経口採取し,モデル基質のカルボキシメチルセルロース(CMC)とキシランそれぞれをルーメン液と混合した.嫌気下で37℃48時間処理し,CMCとキシランの分解特性を測定した.また,ザイモグラフィーによってカルボキシメチルセルラーゼ(CMCase)およびキシラナーゼ活性を分析した.【結果】CMCとキシランの分解速度はどちらも,処理12時間目から24時間目にかけて最大となり,24時間以降は大きく低下した.CMCとキシランの分解によってVFAが蓄積し,その後CH4とCO2に変換された. CMCase活性は,処理24時間で増加し,その後活性が低下した.また,処理0時間と24時間では分子量の異なるCMCaseが高活性を示した.キシラナーゼでは12時間まで同じ分子量の酵素群が高い分解活性を示し,24時間でそれらの活性は低下した.以上よりルーメン液の多糖分解活性は処理24時間まで高く,その間に高活性のCMCaseの種類は変化するが,キシラナーゼでは処理12時間まで同じ酵素群が高活性を維持することが明らかになった.