[P29-58] 泌乳牛における乳成分,第一胃液性状および血液成分とメタン排出量との関連
【目的】育種による反芻動物からのメタン排出量(CH4)削減方策を提案することを目的として,泌乳牛のCH4関連形質を評価するために適している泌乳ステージ,乳成分,第一胃液性状および血液成分等の分析項目について検討した.【方法】ホルスタイン種泌乳牛延べ115頭を供試し,搾乳ロボットを用いたスポット法により5~7日間CH4を測定した.同時に乳成分(乳脂肪酸組成を含む),第一胃液性状および血液成分を調査した.乳サンプル採取時の分娩後日数より,1~99日(前期),100~199日(中期),200~350日(後期)の3期に分類し,各期で推定飼料摂取量あたりのCH4に従い,上位および下位1/3をそれぞれH区,L区として各分析項目の比較を行った.【結果】泌乳前期において,区間に乳量と飼料摂取量に有意差があったが,他ステージと比較して乳成分と血液成分に有意差が認められた項目が少なく,CH4関連形質の判定には適していないと考えられた.泌乳中期と後期においては,H区と比較してL区では,第一胃液中の総VFA濃度,プロピオン酸%,血中のALBが大きい値を示した.また,乳脂率,乳蛋白質率,炭素数4~14の乳脂肪酸の合計割合,第一胃液中の酢酸%,血中のGLU,GPT,BHBはL区の方が小さい値を示した.以上より,泌乳中後期における生体液情報により,飼料摂取量あたりのCH4の多少を判定できることが示唆された.