[P29-59] 速筋型および遅筋型筋線維のゲノムDNAのCpGメチル化解析
【目的】骨格筋は速筋型・遅筋型の2種の筋線維(筋細胞)が混在する組織である.DNAのCpG配列のシトシン塩基のメチル化は遺伝子発現制御機構の一つであり,組織中に存在する様々な細胞種ごとにメチル化のパターンが異なる.筋線維型に特異的な遺伝子発現がCpGメチル化によってどのように制御されているのかは不明であることから,本研究では,単離した筋線維を用いて,筋線維型特異的なCpGメチル化パターンを明らかにすることを目的とした.【方法】6-8週齢のマウス長趾伸筋から速筋型筋線維およびヒラメ筋から遅筋型筋線維を採取した.各型の筋線維よりゲノムDNAを調製し,Reduced Representation Bisulfite Sequencing法によりメチル化解析を行った.【結果】プロモーター,エクソンおよびイントロンにおいて,速筋型で高メチル化率を示した遺伝子は,それぞれ約960,2600および4000遺伝子である一方,遅筋型で高メチル化率を示した遺伝子は,約1600,2100および3400遺伝子であった.遅筋型特異的に発現するMyh7,Actn2およびTnnt1のエクソンでは遅筋型で低メチル化率を,速筋型特異的に発現するMyh4のイントロンおよびTnni2のプロモーターでは速筋型で低メチル化率を示した.以上より,筋線維型特異的に発現する遺伝子はDNAメチル化による影響下にあることが示唆された.