[P29-60] ウシ乳腺由来培養細胞のカルシウム濃度の違いに対する副甲状腺ホルモン関連タンパク質分泌の変化
【目的】副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)は腫瘍に併発する高カルシウム(Ca)血症の原因物質として発見された.その後,胎子期の骨形成などに重要な役割を果たすことが明らかとなったが,近年は悪液質の際に削痩をもたらす原因としても注目されている.乳牛におけるPTHrPの作用は明らかではなく,in vitroの系を用いた研究も必要と考え,その探索を行った.また,Ca濃度の違いに対するPTHrP分泌の変化も検討した.【材料と方法】入手可能だったウシ由来の培養細胞5種をそれぞれの方法で継代培養後,無血清培地で24時間培養し,PCR法にてPTHrP遺伝子発現量を比較した.さらにその際に培地も採取してRIAでPTHrP濃度を測定した.次に,いくつかの培養細胞の培養液中のCa濃度を,0.1~10 mMまでの6段階の異なる濃度で培養し,培養液中のPTHrP濃度を測定した.【結果と考察】5種の培養細胞の中で,PTHrP遺伝子を発現し,培養液中にPTHrPを分泌していたのはウシ乳腺由来培養細胞であるBMGE+Hだけであった.ホルモン要求性のBMGE+HではCa濃度の上昇に伴いPTHrP分泌量も上昇したのに対して,ホルモン非要求性のBMGE-Hではそのような変化が観察されなかった.BMGE細胞のキャラクタライズを正確に行うことが出来れば,ウシにおけるPTHrPの作用を検討するツールになるかもしれない.