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[VIII29-07] マトリセルラータンパク質Tinagl1による筋細胞制御の可能性の検討
マトリセルラータンパク質Tubulointerstitial Nephritis Antigen-Like 1(以下,Tinagl1) を欠損したマウスでは,筋疾患用の表現型および軽微ではあるが骨格筋重量の低下を示すことを報告した.しかし,Tinagl1遺伝子欠損マウスから単離された筋芽細胞は正常に筋管へ分化することから,筋細胞に発現するTinagl1の筋分化への寄与は大きくないかもしれない.そこで本研究では,筋細胞以外から分泌されたTinagl1が筋細胞を制御する可能性について検討した.先行研究から,Tinagl1の発現を確認できているヒトの各種細胞におけるTINAGL1の発現レベルを調べると,ヒト臍帯静脈内皮細胞(以下,HUVEC)において顕著に高いこと,また糖鎖修飾され積極的に分泌されていることが確認できた.siRNA法によりTINAGL1をノックダウンすると,遺伝子発現から分泌物までが優位に減少したことを確認した.しかし,TINAGL1ノックダウンは,HUVECの血管新生には影響しなかった.骨格筋組織内では,血管内皮細胞と筋衛星細胞は隣接しており,種々の因子により互いを制御している.現在,TINAGL1が筋細胞の分化を制御する可能性について検討している.