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[XIV29-17] 小型乾塩漬ハムにおける亜鉛プロトポルフィリンIXの形成様相の観察
【目的】我々は発色剤無添加食肉製品の色調改善を目的として,パルマハムの赤色に寄与する亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)の形成機構解明を目指している.以前の報告で,パルマハムのミトコンドリアにZnPP由来の強い自家蛍光が観察され,ミトコンドリアがZnPPの形成に関与することが示唆されたが,どのように形成されるのかについては検討されていない.そこでZnPP形成機構解明の糸口とするため,製造初期段階におけるZnPP形成様相を観察した.【方法】豚もも肉を食塩のみで乾塩漬し,充填して熟成させ,小型の乾塩漬ハムを製造した.経時的にサンプリングして,ハム断面のZnPP自家蛍光を観察し,凍結切片を作製して共焦点レーザー顕微鏡によりZnPPの形成様相を観察した.【結果】ハム断面では外周部付近においてZnPPの蛍光は観察されず,内部のZnPPの蛍光は製造中に強くなる様子が観察された.顕微鏡下で観察したところ,筋線維周縁部のZnPP由来の蛍光が徐々に強くなっており,ミトコンドリアの局在と一致したため,製造初期段階でのミトコンドリアのZnPP形成への関与が改めて示唆された.一方,断面内部のZnPP自家蛍光では,外側にリング状の強い蛍光が観察された.顕微鏡下では,リング部と中心部でZnPPの蛍光強度に違いが見られたが,分布様相は同様であったため,リング部はZnPP形成が促進されていることが示唆された.