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[XIV29-31] 長期熟成に伴う牛肉の食味性の変化と呈味性成分との関係
【目的】長期熟成に伴う牛肉の食味改善に関与する因子を明らかにするため,70日間まで熟成した交雑牛の食味性の変化と呈味性成分の関係を調べた.【方法】と畜後4日の交雑牛3頭から左右のロース約40cmを採取し,右側を通気状態のドライエイジング,左側を真空包装のウエットエイジングにより2℃で70日間熟成した.熟成に伴い10日毎に5cmずつ切り出し,胸最長筋の中心部を5cm×5cm×8mmに整形してホットプレートで60秒及び90秒加熱(230℃)後,分析型パネル5名による官能評価に供した.残りの胸最長筋は呈味性成分の分析に供した.【結果】ドライエイジングでは熟成50日までうま味,コク,軟らかさ及び熟成香が上昇し,それ以降は横ばい傾向だった.一方,ウエットエイジングでは熟成に伴いうま味,コク及び熟成香が上昇し続けたが,上昇の程度はドライエイジングよりも小さかった.続いて,呈味性成分の分析の結果,熟成方法にかかわらず遊離アミノ酸が増加し,イノシン酸(IMP)が減少した.また,ペプチド及びヒポキサンチン(Hx) は熟成50日前後まで増加し,それ以降横ばい傾向であった.相関分析の結果,うま味及びコクの強さとHx含量との間に最も強い正の相関が認められ,反対にIMP及びうま味強度(Yamaguchi,1967)との間には負の相関が認められた.従って,Hxは牛肉の熟成適期を示す指標となる可能性が示された.