日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養

2019年9月18日(水) 13:30 〜 17:20 第I会場 (ぽらんホール(8番講義室))

座長:松井 徹(京大院)、松崎 正敏(弘前大農生)、寺田 文典(東北大院農)、小櫃 剛人(広島大院生物圏)、樋口 幹人(農研機構中央農研)、杉野 利久(広島大院生物圏)

13:30 〜 13:40

[I-18-01] 農場繁殖成績と腸内細菌叢の関係

*瓜生 遥1、塚原 隆充2、石川 弘道3、大井 宗孝3、大竹 聡3、山根 逸郎4、井上 亮1 (1. 京府大生環、2. 栄養・病理研、3. 日本養豚開業獣医師協会 (JASV)、4. 農研機構動物衛生部門)

母豚生産性は受胎率,生存産子数,離乳頭数などの繁殖成績により左右されるが,これらは母豚の健康状態と密接に関連している.一方,腸内細菌により形成される腸内細菌叢は宿主と相互に作用し,宿主の代謝や免疫系などに大きな影響を与えることが主にヒトの研究で明らかになっており,ブタでも同様の知見が蓄積し始めている.本研究では,母豚の繁殖成績と腸内細菌叢との関係を探るために,農場の年間平均離乳頭数を指標として,農場の繁殖成績と腸内細菌叢との関係を検討した.
 養豚ベンチマーキングシステムPigINFOの2017年度の調査対象となった国内162戸の養豚場のうち,母豚1頭当たりの年間離乳頭数が上位25%に属する養豚場9戸(=A群),下位25%に属する養豚場9戸(=B群)を対象とした.各養豚場から10頭ずつ母豚の糞便を採取し,16S rRNAメタゲノム解析により,腸内細菌叢を解析した.
 主座標分析では2群間の腸内細菌叢構成に有意な差が認められ(p<0.05),taxonomyでは43の細菌属の占有率に群間で有意な差が認められた.群間で有意差がみられた細菌属の占有率と,年間平均離乳頭数との相関を調べたところ,Butyricicoccus属を含む8つの細菌属で正の相関を,Campylobacter属を含む3つの細菌属で負の相関を示す傾向が認められた.以上から,農場繁殖成績は腸内細菌叢と関連することが示唆された.