日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養

2019年9月18日(水) 13:30 〜 17:20 第I会場 (ぽらんホール(8番講義室))

座長:松井 徹(京大院)、松崎 正敏(弘前大農生)、寺田 文典(東北大院農)、小櫃 剛人(広島大院生物圏)、樋口 幹人(農研機構中央農研)、杉野 利久(広島大院生物圏)

16:00 〜 16:10

[I-18-14] 初産牛と経産牛における乾乳時乳量が次産乳期の疾病発生に及ぼす影響

*伊藤 文彰1、山崎 武志1、内沢 航太2、舛田 正博2、田鎖 直澄1 (1. 農研機構北農研、2. 家畜改良セ新冠)

【目的】分娩後の急激な乳量の増加を抑え,泌乳後期の乳量を高レベルに持続させる泌乳平準化と泌乳持続性は,泌乳前期の健全性を高めるとともに生産性も確保できると期待される.しかしながら,乾乳時期の乳量が高いレベルにあると種々のトラブルも懸念される.本研究では,乾乳時乳量と次産乳期の疾病発生状況について解析する.【方法】北海道で約250頭の搾乳牛をフリーストールにて飼養する牧場において,初・2産間と2・3産間以上の乳牛(経産牛)に産次を分け,合計357頭のデータを解析した.乾乳期間は90日以内のデータとした.前産の乾乳前30日と次産分娩後30日の乳量を整理した.次に次産の乳期中に発症した疾病と産次を考慮した2元配置の分散分析を行った.【結果】疾病をカテゴリー別に整理すると,泌乳器病(乳房炎など),乳熱と後産停滞,蹄病で約93%を占めた.全疾病を対象にすると,経産牛の乾乳時乳量は,次産時にいずれかの疾病を発症した乳牛の方が発症なしの乳牛より多かった.一方,初・2産間の牛では,初産時の乾乳時乳量の違いによる全疾病発生には差がなかった.乳熱と後産停滞では,産次の交互作用はなく,発症した乳牛の前産時乾乳時乳量が発症しなかった乳牛よりも多い傾向にあった.【結論】経産牛では,乾乳時乳量が多いと次産時に何らかの疾病に罹患する可能性が高いので注意が必要であるが,初産牛では異なることが示唆される.