栄養・飼養

[I-18-16] 離乳子牛の糞便スコアおよび腸内細菌叢に及ぼす便微生物移植法の影響

*網本 光希¹ (1. 広島大院生物圏生物資源)

【目的】近年，ヒトにおいて腸内細菌叢に着目した治療法として，良好な腸内微生物を他者に移植する「糞便移植」（fecal microbiota transplantation: FMT）が行われている．家畜においてもFMTが試みられ，これにより下痢防止や腸内細菌叢の改善，さらには成長促進が期待されるものの，その詳細は不明である．本研究では，離乳子牛へのFMT実施が，その後の糞便性状，腸内細菌叢および増体に及ぼす影響について調査した．【材料および方法】ホルスタイン種離乳雌子牛９頭（45日齢）を供試し，FMTを実施した区（F区）と生理食塩水を注入した対照区（C区）の計２処理区を設けた．なお，FMTは，健康な成牛の糞を生理食塩水で混濁・ろ過したものを離乳子牛の結腸に注入した．糞便は，注入直前および注入１週間後に採取した．測定項目は，糞便スコア，腸内細菌叢（Lactobacillus, Bifidobacteria,Sallmonella，大腸菌，大腸菌群）および増体とした．【結果】注入１週間後の糞便スコアは，注入直前と比較し，C区では変化はなかったものの，F区では改善されることが示された．腸内細菌叢については，いずれの菌群においてもFMTの効果は認められなかった．また，増体についても両区間で違いはなかった．