日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:30 第I会場 (ぽらんホール(8番講義室))

座長:熊谷 元(京大院農)、嶝野 英子(農研機構東北農研)、河合 正人(北大FSC)

09:40 〜 09:50

[I-19-02] 木材クラフトパルプの粗飼料置き換えが泌乳牛のルーメン液性状および乳生産に及ぼす影響

*西村 慶子1、新倉 宏2、水口 人史3、佐藤 繁3、寺田 文典4、櫛引 史郎5 (1. 宮崎畜試、2. 日本製紙、3. 岩手大農、4. 東北大院農、5. 農研機構畜産部門)

【目的】木材クラフトパルプ(KP)は,濃厚飼料と同等なTDN含量を有するとともに,NDF含量は95%以上であることから繊維質の飼料としても有望であると考えられる.そこで,粗飼料の一部をKPに置き換えた発酵TMRを泌乳牛に給与し,ルーメン液性状ならびに乳生産に及ぼす影響を検討した.【材料と方法】ホルスタイン種泌乳牛4頭を供試した1期21日間とするクロスオーバー法による飼養試験を2回行った.給与飼料はKPを含まない発酵TMR(対照飼料)と,対照飼料中の粗飼料の一部をKPに置き換えた発酵TMR(KP飼料)を用いた.ルーメンpHは学術研究用に試作した無線伝送式pHセンサーを用いて測定し,ルーメン液は給与後4時間に経口採取した.【結果】ルーメンpHは,1日を通して対照飼料よりもKP飼料で低く推移した(P<0.01).総VFA含量は対照飼料よりもKP飼料で高く(P<0.05),KP飼料で酢酸含量(P<0.05)とプロピオン酸含量(P<0.1)が増加した.乳量は両区に違いはみられず,乳糖率および無脂固形率は対照飼料よりもKP飼料で高まる傾向を示したが,その他の成分に差はみられなかった.以上より,粗飼料の一部を木材クラフトパルプに置き換えるとルーメン内のVFA産生量が増加するものの乳生産への影響はみられないことが示された.