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[I-19-05] ウマ唾液由来微生物の探索と宿主への影響の検討
【目的】現在の畜産学研究の対象家畜はウシ,ブタ,トリであり,ウマに関する研究は希少である.本実験ではウマの消化・代謝における微生物の役割を理解するために,消化管の入り口である口腔に着目し,唾液由来の微生物を探索して,宿主に対する影響を検討した.【方法】ウマ(道産子)由来の唾液を段階希釈後,羊血液寒天培地に塗抹して37℃,24時間で好気培養し,出現コロニーを16s rDNA解析により菌種を同定した.その中から1菌株を選出し,その各種酵素活性と抗菌活性を測定した.【結果・考察】羊血液寒天培地に生育した特徴的な8コロニーを釣菌した.16S rDNA解析の結果,2菌株が菌種名まで同定でき,No. 2はBacillus aryabhattai,No. 8はExiguobacterium artemiaeであった.Bacillus属細菌はプロバイオティクスの代表菌の1つであることから,以後の実験はNo. 2を用いて進めた.その結果,主に部分的なリン酸分解,脂質分解ならびに糖質分解に関与していることが判明し,またLactobacillus bulgaricus, L. brevis, L. plantarum, B. subtilis,Streptococcus mutansへの抗菌効果を示さなかったことから,本菌株はウマの消化管内で他の微生物と共生関係を構築し,ウマの消化に貢献していると考えられた.