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[I-19-08] ホルスタイン種における給与飼料の違いによる第一胃と第二胃のpHおよび発酵産物の違いの検討
【目的】ウシにおける生産性低下の要因はルーメンアシドーシスなど第一胃内発酵異常が起因となる疾病であることが多い.そのため,第一胃発酵状態を高精度に推定するため,第二胃に留置されるセンサの開発がされている.そこで,通常センサが留置される第二胃と第一胃の発酵状態の関連性および給与飼料の違いによる影響を検討した.【方法】ホルスタイン種フィステル装着牛2頭に第一胃と第二胃のそれぞれにセンサを留置し,1分おきにpHを測定した.試験期間は粗飼料多給期(F期)と濃厚飼料多給期(C期)の2期とし,各期2週間で最初の1週間は馴致期間とした.試験開始日と終了日に飼料給与前,3時間後,6時間後の各センサ周辺の内容物を採取し,揮発性脂肪酸(VFA)を測定した.【結果】F期およびC期におけるpHは第二胃で第一胃よりも約0.3程度高く推移した.また,試験期間中の第一胃と第二胃のpHに正の相関関係が認められた.さらに,C期における第一胃pHの日内での変動幅はF期と比較して軽微であった.総VFA濃度および各VFAの産生割合は第二胃と第一胃の間に差は認められなかった.以上より,第二胃と第一胃の発酵状態は関連しており,給与飼料の違いによって各胃間の発酵状態は変化しないことが示唆された.