日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:30 第I会場 (ぽらんホール(8番講義室))

座長:熊谷 元(京大院農)、嶝野 英子(農研機構東北農研)、河合 正人(北大FSC)

11:10 〜 11:20

[I-19-11] 亜急性第一胃アシドーシス牛の分娩前後における肝組織中遺伝子発現の変化

*千葉 恵樹1、Kim Yohan1、杉野 利久2、川嶋 賢二3、沖村 朋子4、櫛引 史郎5、木崎 景一郎1、佐藤 繁1 (1. 岩手大農獣、2. 広大院統合生命、3. 千葉畜総研、4. 富山畜研、5. 農研機構畜産部門)

【目的】亜急性第一胃アシドーシス(SARA)牛の分娩前後における肝組織中遺伝子発現を明らかにする目的で,マイクロアレイを用いた網羅的解析を行った.【材料と方法】経産乳牛18頭を供試し,分娩~2週後までに前胃液pH < 5.6が1日3時間以上・2日以上をSARA群(n=9),同1日以内を非SARA群(n=9)と区分した.肝組織は分娩前3週,分娩後2週と6週に生検針を用いて採取した.RNAを抽出後,マイクロアレイ法により遺伝子発現を解析し,P < 0.05およびFold Change >±1.5の遺伝子をIPA software(Ingenuity System,USA)により分析した.【結果と考察】SARA群では非SARA群に比べて,分娩前3週にIGF-1と結合するIGFBP6発現が増加,分娩後2週にGH分泌抑制に重要なSOCS2発現が増加,炎症刺激で発現が増加するJUNや炎症関連遺伝子のCCL5発現が減少した.また,発現変動遺伝子の機能解析により,SARA群では分娩後2週にLPSがUpstream regulatorとして関わる経路が抑制され,本経路の下流遺伝子にCCL5JUNSOCS2が含まれていた.これらのことから,SARA牛の肝組織では分娩前にIGF-1による免疫機能の増強,分娩後にLPSに対する炎症反応およびGH分泌の抑制に関連した遺伝子発現が変動することが示唆された.