栄養・飼養

[I-19-12] ホルスタイン種乳牛と黒毛和種肥育牛における第一胃液細菌叢構成の比較

*堀中 あさひ¹、Kim Yohan¹、杉野 利久²、川嶋 賢二³、岩本 英治⁴、正木 達規⁴、一條 俊浩¹、佐藤 繁¹ (1. 岩手大農獣・産業動物内科、2. 広島大院統合生命、3. 千葉畜総研、4. 兵庫農技総セ)

【目的】本試験は，第一胃液性状と細菌叢構成の差異を確認する目的で，ホルスタイン種乳牛と黒毛和種肥育牛を比較した．【材料と方法】通常管理下の健康な乾乳期乳牛（分娩前3週；15頭）と肥育前期牛（15カ月齢；9頭）を供試し，前胃液pHを連続測定した．第一胃液は乳牛では経口的に，肥育牛ではフィステル孔を介して採取し，VFA，NH₃-N，乳酸，LPSを測定した．細菌叢解析は細菌DNAを抽出後，次世代シークエンサー（Illumina, USA）を用いて16SrRNA配列解析を行った．統計解析は対応のないt検定とマンホイットニーのU検定により行った．【結果・考察】乳牛では肥育牛に比べて，前胃液pHの24時間平均値が高値，総VFAとNH₃-Nは低値を示し，細菌の相対的発現量はRuminococaceae属やLachnospiraceae属が低値，Olsenella属やFirmicutes属は高値を示した．同様に乳牛では肥育牛に比べて，Prevotrlla ruminicolaが高値，Ruminococcus bromiiとLactonifactor longoviformisは低値を示した．細菌叢の多様性や類似性は，乳牛と肥育牛の間で差異がみられた．以上から，乳牛と肥育牛の第一胃液細菌叢構成は，給与飼料によって異なり，長期間の飼養管理に対する第一胃の適応状態が影響すると考えられた．