日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

1. 栄養・飼養

栄養・飼養

2019年9月18日(水) 16:40 〜 17:20 第II会場 (7番講義室)

座長:古瀬 充宏(九大院農)

16:50 〜 17:00

[II-18-18] 採卵鶏へのリコピン異性体比率の異なる飼料給与が卵黄中リコピンと卵質に及ぼす影響

*林 義明1、石川 大登1、本田 真己2 (1. 名城大農、2. 名城大理工)

【目的】鶏卵には飼料由来カロテノイドを含み,採卵鶏へのトマト給与での卵黄中リコピン蓄積が報告されている.リコピンは抗酸化能を持ち,ヒトの癌や動脈硬化に予防効果がある.リコピンの大部分はトランス異性体であるが,鶏卵中リコピンの一部はシス異性体と示されている.しかし,リコピン異性体比率が異なる飼料給与での卵黄中リコピンや卵質の検証はない.そこで採卵鶏へのリコピン異性体比率の異なる飼料給与が卵黄中リコピンと卵質に及ぼす影響を調べた.【方法】飼料中200 mg/kgのリコピンのシス異性体比率が0%(C),35.1%(T1),61.3%(T2)の試験区で,各区にボリスブラウン雌10羽を供試した.馴致後,試験期の0,4,9,14,21日目に採卵し,卵黄中リコピン濃度とシス異性体比率を測定し,21日目は卵質を測定した.【結果】卵黄中リコピン濃度(μg/g)は試験4日目以降,T2が最高,Cが最低で(P<0.05),21日目のT2はCの約3倍であった(C:1.76,T1:4.23,T2:5.35).シス異性体比率は試験4日目以降,T2が他区より高く(P<0.05),T2は84%以上,Cは77%以下であった.卵質はT1とT2の卵黄色がCより高かった(P<0.05).リコピンのシス異性体比率が高い飼料給与は,4日目には卵黄中リコピン濃度とシス異性体比率を増加させ,21日目には卵黄色を高めることが示された.