9:40 AM - 9:50 AM
[II-19-02] 流通時の豚背脂肪の硬さをと畜直後に予測するための非破壊評価法の検討
【背景】自給飼料給与等により脂肪の質に特徴のある豚肉が生産されており,と畜後の早い段階で脂肪の品質を評価できれば,差別化により適切な価格形成等に貢献できる.カットのしやすさや小売トレー盛り付けの見た目などの流通時の品質に影響する脂肪の「しまり」(硬さ)は,脂肪の化学組成や結晶状態を定性・定量できるラマン分光により非破壊的に評価できる可能性があることから,ラマン分光によりと畜直後の温と体から流通時の脂肪の硬さを予測可能か検討をおこなった.【方法】2か所の食肉処理施設において,と畜60分後の豚枝肉(皮剥ぎ,n=135)の背脂肪(最後胸椎位)から,785 nm励起ラマンスペクトル(指紋領域)を取得した.また,と畜3日後の同部位の脂肪の硬さを4℃の冷蔵庫内において硬度計を用いて計測した.脂肪の硬度を従属変数,全スペクトル変数を説明変数として主成分回帰分析し,スペクトルによる脂肪硬度の予測精度をFull Cross-Validationにより評価した.【結果】主成分回帰分析の結果,ローディングスペクトルの情報から予測に有用と考えられた5つの主成分を用いて作成した予測式のRPDは1.3と低く,実際の予測に利用できる水準に至らなかった.主成分間の多重共線性が予測精度を下げている可能性があることから,実用化のためには全スペクトル変数の中から適切な変数を選択して予測式を作成する必要があると考えられた.