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[II-19-05] Lactobacillus gasseriが生産するガセリシンSの抗菌性は指標菌の生育フェーズに影響される
【目的】先行研究により,Lb. gasseriが生産するガセリシンS(GS)は増殖中の菌体を強力に殺菌する一方,静菌状態(低温保持および静菌剤添加)の菌体は殺菌しないことを明らかにした.本研究では,GSの殺菌性に増殖時の標的菌体表層における構造変化が関与していると仮定し,生育フェーズの異なる指標菌体に対するGSの抗菌性について検証を試みた.【方法】指標菌Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus JCM 1002T (pSYE2)を培養し,継時的な生菌数測定から増殖曲線を作成した.次いで,誘導期,対数増殖期,および静止期の指標菌(それぞれ培養0,8,および24時間)の菌数を約105 CFU/mLに調整後,GSを37℃(増殖可能)および4℃(増殖停止)で20分間感作させ,生菌数を測定した.【結果】GSの感作温度に関わらず,誘導期菌体では菌数の変動が無く,静菌的な作用を示したが,対数増殖期菌体は完全に死滅した.また,静止期菌体においても感作温度に関係なく菌数の減少が認められたが,対数増殖期菌体と比較してその減少度は僅かであった.対数増殖期菌体のみが短時間(20分間)の感作で死滅し,感作温度(≒増殖性)の差異による影響も認められなかったことから,GSの殺菌性には菌体の増殖時における特異的レセプター発現,もしくは膜構造変化が関係していると考えられた.