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[II-19-08] Lactobacillus helveticusの長期摂取がマウスの不安様行動に及ぼす影響
【目的】ストレス関連の疾患には, 脳ー腸ー腸内細菌叢軸の関与が指摘されている. プロバイオティクスの摂取は腸内細菌叢の菌種を変化させることが知られており, ストレス由来の疾患予防の観点から注目されている. 我々は, 当研究室で保有する乳酸菌を用いて発酵乳を調製し, マウスへの投与がストレス由来の不安様行動に及ぼす影響を検討した. 【方法】ICRマウスに28日に亘って蒸留水,あるいはL. helveticusを用いて調製した発酵乳を経口投与した. 28日目に腸内細菌叢の変化を確認するため糞便を採取した. 29日目にオープンフィールド試験を行い, 運動機能の指標として総移動距離, 不安様行動の指標として中央エリア移動距離を計測した. 腸内細菌叢の変化は変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法によって確認した. また, 発酵乳をホエーとカードに分離して冷凍保存した試料をマウスに28日間投与し, オープンフィールド試験を行った. 【結果】L. helveticusによる発酵乳の長期投与により,糞便中の特定の細菌が減少した. また, 蒸留水投与群と比較して発酵乳投与群では中央エリア移動距離が増加したが, 冷凍したホエーおよびカード投与群では差が認められなかった. 以上より調製された発酵乳は, 長期間の摂取で不安を緩和する可能性が示され, 発酵乳が有する抗不安様作用には菌の活性が重要であると推測された.