日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

2. 遺伝・育種

遺伝・育種

2019年9月18日(水) 14:00 〜 16:45 第III会場 (2番講義室)

座長:福田 智一(岩手大理工)、佐藤 正寛(東北大院農)、後藤 達彦(帯畜大農)、井上 慶一(家畜改良セ)

14:20 〜 14:30

[III-18-03] 附属農場のホルスタイン集団における疾病治療と生産寿命の関連性

*寺脇 良悟1、輪島 健太1、田村 愛也1、川岸 孝博1 (1. 酪農大農食環境)

【目的】ホルスタイン牛の遺伝的改良において注目されている機能的形質の一つである疾病に対する抵抗性形質を検討するための事前情報を得るため,罹患個体の生産寿命について調査した.【方法】酪農学園フィールド教育研究センターの農場報告2004年度から2013年度に記載のあるホルスタイン牛378頭について,平成29年度家畜共済電子コード表に従い疾病治療状況を集計した.疾病治療と生産寿命(初産分娩日から淘汰あるいは調査終了日までの日数)の関連性を2004年4月1日以降に誕生した分娩記録をもつホルスタイン牛203頭の記録を用いて検討した.生存時間解析はSurvival Kit V6.1で行った.【結果】総治療回数は5,785回であった.治療の多い順に,泌乳器病1,768回,運動器病1289回,妊娠・分娩期及び産後の疾患(分娩疾患)779回であった.泌乳器病と分娩疾患の治療は分娩後早期に多く,一方,運動器病は乳期全般で治療が行われた.生存時間解析において,完了記録の平均生産寿命は874.5日であった.泌乳器病の治療を受けていないクラスと比べ,最も多く治療を受けたクラスの相対的淘汰危険度は約3.9倍であった.また,このクラスの平均生産寿命は約420日と予測された.妊娠疾患も同様の傾向を示した.運動器病の治療クラス間では,相対的淘汰危険度および平均生産寿命に顕著な差異は認められなかった.