日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2019年9月18日(水) 14:00 〜 16:35 第IV会場 (4番講義室)

座長:田島 淳史(筑波大生命環境/T-PIRC農場)、山内 伸彦(九大院農)、横尾 正樹(秋田県大)、木村 直子(山形大)

15:35 〜 15:45

[IV-18-09] 黒毛和種繁殖雌牛における栄養状態と繁殖成績との関連および画像による栄養状態の客観的評価の試み

*根岸 菜都子1、鍋西 久2、山崎 淳2、餌取 直輝3、有山 夏子3、名取 隆廣3、相川 直幸3 (1. 北里大院獣、2. 北里大獣、3. 東京理科大)

【目的】分娩間隔の延長には発情の見逃しや人工授精技術など様々な要因が関与していると考えられるが,栄養状態も一要因となることが示唆されている.しかしながら,黒毛和種における栄養状態と繁殖成績との関連についての知見は少ない.また外貌から栄養状態を評価する既存の手法は主観的であり,判定者によって評価が異なることもある.本研究では分娩前後の栄養状態と繁殖成績との関連を検討するとともに,画像による栄養状態の客観的評価を試みた.【方法】青森県内の民間農場で飼養されている黒毛和種繁殖雌牛を用い,分娩前後の6ヶ月間にわたり月1回の栄養度評価と採血を実施し,繁殖成績との関連を検討した.また画像撮影も行った.【結果】分娩後の栄養度が低い個体では初回交配日数の有意な延長が認められ(P<0.05),血液中プロジェステロン濃度より,分娩後の発情回帰が遅延していることが要因であると示唆された.このことから,分娩後の栄養状態を適正に調整することで分娩間隔を短縮できると考えられた.そこで画像をもとにした栄養状態の客観的評価について,人工知能による機械学習で評価したところ,これまでに80%の認識率で栄養度を分類できている.本発表では分娩前後の血液生化学性状,ホルモン濃度,画像データをパラメータとして,繁殖成績との関連についても併せて報告する.本研究は「生産性革命に向けた革新的技術開発事業」の支援を受けて実施した.