日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2019年9月18日(水) 14:00 〜 16:35 第IV会場 (4番講義室)

座長:田島 淳史(筑波大生命環境/T-PIRC農場)、山内 伸彦(九大院農)、横尾 正樹(秋田県大)、木村 直子(山形大)

15:45 〜 15:55

[IV-18-10] アルギニン製剤の経口給与が牛の定時授精後の受胎率やアミノ酸代謝に及ぼす影響

*平田 統一1、阿部 佳代子2、松﨑 駿1、及川 真道1、千田 広幸1、佐々木 修1、佐々木 修一1、桃田 優子1、田尻 和之1、杉本 裕介3 (1. 岩手大農、2. マルホ、3. 味の素)

【目的】演者らは牛の定時授精(tAI,=Day0)プロトコールの卵胞成熟期(Day-2)にアルギニン5または60gを頸静脈内に単回投与することで受胎率が改善することを報告した(第122回日本畜産学会).本試験では実用を見越し,アルギニン(Arg)製剤を経口給与することが定時授精後の受胎率に及ぼす影響について検討した.【方法】黒毛和種30頭を用いtAI(Day0)した.Arg給与群にはDay-10からDay-1までの10日間,1日1回Arg製剤(アルファット,あすかアニマルヘルス)を50g給与し,非給与群には給与しなかった.処置開始時のDay-10とtAI時のDay 0に採血し,血中の各種アミノ酸,アンモニア,尿素窒素濃度を測定した.【結果と考察】tAI後42日前後の受胎率は,非給与群の18.8%(3/16頭)に対してArg給与群では64.3%(9/14頭)で高かった.非給与群の不受胎牛5頭,Arg給与群の受胎牛5頭を比較した場合,総アミノ酸量に対する比の動向から,Arg給与群では必須アミノ酸の利用や非必須アミノ酸の生合成が亢進している可能性があり,Arg給与群のグルタミン濃度は非給与群よりも有意に高かった.非給与群では処置期間中血中アンモニアや尿素窒素濃度が上昇したのに対し,Arg給与群では変化がみられず,アミノ酸代謝の適正化が妊孕性に影響した可能性が考えられた.