日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

3. 繁殖・生殖工学

繁殖・生殖工学

2019年9月18日(水) 14:00 〜 16:35 第IV会場 (4番講義室)

座長:田島 淳史(筑波大生命環境/T-PIRC農場)、山内 伸彦(九大院農)、横尾 正樹(秋田県大)、木村 直子(山形大)

16:25 〜 16:35

[IV-18-14] 細胞極性関連因子PARD6Bがブタ初期胚の発生および組織分化関連遺伝子発現におよぼす影響

*江村 菜津子1、齋藤 ゆり子2、三浦 瑠璃2、澤井 健1,2 (1. 岩手連大農、2. 岩手大農)

【目的】マウス胚では,細胞極性が内部細胞塊と栄養膜細胞への分化を制御しており,細胞極性関連因子Pard6b発現を抑制すると,胚盤胞(BC)期への発生が阻害される.一方,ブタ胚における細胞極性の役割は明らかでない.本研究では,ブタ胚でのPARD6Bの発現動態を明らかにし,さらにPARD6Bの人為的発現抑制を行うことで,その役割について検討した.【方法】ブタ体外成熟卵子および体外受精胚の1-細胞期からBC期にかけてのPARD6B mRNA発現量を解析した.2種類のPARD6B発現抑制用siRNAをそれぞれ1-細胞期胚に注入した.また,発現抑制効果がないControl siRNA注入区も設け,胚発生率を調べた.さらに8~16-細胞期において,組織分化関連遺伝子であるOCT-4SOX2およびTEAD4のmRNA発現量を解析した.【結果および考察】PARD6Bは成熟卵子から8~16-細胞期の間で高い発現を示した後,桑実期から低下した.桑実期までの発生率に各実験区間での差はなかったが,PARD6B siRNA注入区においてBC期への発生が阻害された.組織分化関連遺伝子発現においては,いずれの遺伝子においても実験区間に差は認められなかった.以上の結果から,ブタ胚の発生においてPARD6Bが必須であることが明らかとなったが,細胞極性は主要な組織分化関連因子の発現に関与しない可能性が示された.