管理・環境

[IV-19-05] 密閉縦型堆肥化装置で処理された豚ぷんの堆肥化および肥料調製過程における臭気成分の変動

*小島 陽一郎¹、松岡 英紀²、浅野 智孝²、見城 孝志²、中久保 亮³、石田 三佳³ (1. 農研機構中央農研、2. 朝日工業、3. 農研機構畜産部門)

【背景】密閉縦型堆肥化装置は，主に中小家畜向けに普及しており，2週間程度の比較的短い期間で水分の低い堆肥が生産できる．生産された堆肥は，普通肥料である混合堆肥複合肥料の原料にも利用されている．しかし，豚ぷんを密閉縦型堆肥化装置で処理した後の堆肥は，独特の臭気が残存するが，豚ぷん堆肥およびそれを利用した肥料の臭気に関する知見は少ない．そこで本研究では，密閉縦型堆肥化装置で生産された豚ふん堆肥の肥料調製過程における臭気成分の変動を調査することを目的とした．【方法】混合堆肥複合肥料の原料供給している千葉県の養豚農家で生産された堆肥について，4つの調製段階における試料を採取した．すなわち，①堆肥化前の生ふん②密閉縦型堆肥化処理直後③農場内での最長2か月程度の1次貯留後④肥料工場搬入後1か月程度の2次貯留後である．それぞれのサンプルについて，試料中の悪臭原因物質濃度および30℃条件で試料から揮発した悪臭原因物質濃度を測定した．【結果】密閉縦型堆肥化装置での平均処理日数は13.1日であり，排気温度から良好に堆肥化されていた．堆肥化により硫黄系物質などはほとんど処理された一方，2次貯留後でも低級脂肪酸類やメチルメルカプタンは，生ふん中濃度を100%とした場合20%以上が残存した．【謝辞】本研究は，農林水産省戦略的プロジェクト「総合的な悪臭低減，臭気拡散防止技術の開発」により実施した．