日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境

管理・環境

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:30 第IV会場 (4番講義室)

座長:竹田 謙一(信州大)、長谷川 輝明(千葉県畜産総合研究セ)、青山 真人 (宇大農)

11:00 〜 11:10

[IV-19-10] 泌乳牛への乳房炎ワクチン投与による乳汁中生菌数および体細胞数の推移

*北野 菜奈1、網本 光希2、栗木 健3、江口 佳子4、高橋 俊彦1 (1. 酪農大、2. 広島大、3. 共立製薬、4. 共立製薬現(現:イプラ・ジャパン合同会社))

【目的】 2016年に日本で初めて乳房炎ワクチンの販売が開始された.このワクチンは黄色ブドウ球菌,大腸菌群,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌による臨床型乳房炎の臨床症状を軽減させる.用法は,健康な妊娠牛の分娩予定日の45日前(±4日),10日前(±4日)および分娩予定日の52日後(±4日)の計3回注射する.本ワクチンは乾乳期と分娩後に使用する製品である.今回,本研究では用法と異なる,泌乳期にワクチンを投与することで得られる効果について乳汁中生菌数および体細胞数を測定し検証した.【方法】 酪農学園大学付属農場で飼養される泌乳牛5頭(18分房)にワクチンを投与し,乳汁中の生菌数および体細胞数の測定と菌種の同定を常法に従って実施した.1回目の乳房炎ワクチン接種日を0週,2回目接種日を5週後に行った.乳汁は0-5周まで1週間隔,7-17週まで2週間隔に採取した.【結果と考察】 乳汁中生菌数において,1万cfu/ml以上と3万cfu/ml以上を比較し分房数は1万以下が多い傾向を示した.乳汁中体細胞数において10万cell/ml以上と以下を比較し10万cell/ml以下の分房数が多い傾向を示した.
0週時に大腸菌性乳房炎発症牛が1頭おり,試験期間中大腸菌群が検出された.しかし,生菌数および体細胞数に変化はなかったため,泌乳期にワクチンを投与することで乳房炎重篤化を防ぐことに寄与できたと思われた.