The 126th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

優秀発表賞応募講演

Wed. Sep 18, 2019 9:30 AM - 10:45 AM 第IV会場 (4番講義室)

座長:塚原 隆充(栄養・病理研)、三森 眞琴(農研機構畜産部門)、青山 真人 (宇大農)、豊後 貴嗣(広島大院生物圏)

10:30 AM - 10:45 AM

[IV-YS-05] 異なるカプサイシン濃度がニホンジカ(Cervus nippon)の摂食行動および植物成長に及ぼす影響

*椎葉 湧一朗1、松島 憲一2、竹田 謙一2 (1. 信州大院総合工、2. 信州大農)

【目的】ニホンジカ(以下,シカ)による食害対策として,カプサイシンが用いられている.本研究では,シカの摂食行動を抑制できるカプサイシンの最も効果的な希釈濃度を調べ(実験1),その希釈濃度が保護植物の成長に及ぼす影響を調べた(実験2).【方法】実験1:本学で飼育している成雌ジカ4頭を用い,ラテン方格法により,基礎となる固形飼料300gに,異なる濃度のカプサイシン水溶液(0%対照区,0.062%区,0.62%区,6.2%区)を噴霧し,供試ジカの摂食量,摂食時間および舌なめ行動を記録した.実験は1日1回1処理あたり4日行った.実験2:6種の植物を供試し,実験1と同様の濃度を植物の2葉期以降に噴霧した.葉面積近似値,草高,葉数を5日ごと計測し,実験期間終了後に植物の地上部を刈り取り,乾物重量を量った.【結果】実験1:摂食量および摂食時間は,対照区と比べて0.62%区,6.2%区で有意に減少した(P<0.05).舌なめ行動は,他処理区と比べて6.2%区で約3倍増加した.実験2:葉面積近似値,草高,葉数は,全種が6.2%区で最も低くなった(P<0.05).乾物重量は,6.2%区において4種で著しく減少した(P<0.05). 6.2%区では枯死も認められ,88.3%の個体に外観的変化も認められた.以上より,シカに摂食抑制効果を十分与える濃度では保護植物の成長に影響を及ぼすことが明らかとなった.