日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:10 第V会場 (6番講義室)

座長:本田 和久(神戸大院農)、奈良 英利(石巻専修大)、村井 篤嗣(名大院生命農)

09:30 〜 09:40

[V-19-01] ウシのルーメン上皮組織における未分化細胞群の探索

*水谷 吏絵1 (1. 北大院農)

動物組織の発達には組織幹細胞が必要なことから離乳前後の子ウシの急速なルーメン発達でも組織幹細胞の関与が予想される.ルーメン上皮と同様に重層扁平上皮である食道上皮では基底層に組織幹細胞が存在し,組織の機能形態を担う分化細胞を供給する.組織構造の類似性からルーメン組織でも基底層での幹細胞様の未分化細胞群の存在が予想される.従って本研究では,ルーメン上皮組織での未分化細胞の探索と組織発達への関与を検討した.
 離乳前の4週齢,離乳後の13週齢及び40週齢のホルスタイン種牛よりルーメン組織を採材した.定量的PCR及びイムノブロットにより食道幹細胞マーカー(CD73,SOX2,TP63,ITGB1,ITGB4,ITGA6,及びCSPG4)の遺伝子発現を検討し,各週齢での発現量を定量した.また,未分化細胞マーカーSOX2,ITGA6,ITGB4,及びCD73,細胞増殖マーカーKI67のルーメン組織内分布を免疫染色法により検討した.
 ルーメン組織において検討した全ての食道幹細胞マーカーの遺伝子発現を確認した.これらの食道幹細胞マーカーの遺伝子発現量は全て4週齢と比較して13週齢で低下していた.幹細胞マーカーと増殖マーカーのルーメン組織内分布を検討した結果,全ての週齢でSOX2とKI67が基底層で発現した.以上より,ウシのルーメン上皮基底層に未分化細胞群が存在し,ルーメン発達に関与する可能性が示された.