日本畜産学会第126回大会

講演情報

口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

2019年9月19日(木) 09:30 〜 11:10 第V会場 (6番講義室)

座長:本田 和久(神戸大院農)、奈良 英利(石巻専修大)、村井 篤嗣(名大院生命農)

09:40 〜 09:50

[V-19-02] 離乳直後の腸内の免疫・微生物環境形成に及ぼすパイエル板の役割

*新實 香奈枝1、宇佐美 克紀1、古川 睦実1、馬場 柚里1、山内 清哉1、渡邊 康一1、麻生 久1、野地 智法1 (1. 東北大院農)

【目的】離乳直後の腸内の免疫・微生物環境は極めて不安定であることから,免疫グロブリン(Ig)Aや腸内微生物叢を速やかに発現・発達させるための飼養環境を構築することは重要である.しかしながら,腸内の免疫・微生物環境の発達機序は完全には理解されておらず,本研究では,離乳後から成体へと発育する過程で,腸内の免疫・微生物叢環境が形成される際のパイエル板(PP)の役割を明らかにすることを目的とした.【方法】抗IL-7Rα抗体を投与した母体より出生したPP欠損マウスとPP正常マウスより,離乳直後(3週齢)から11週齢までの間,糞便と腸管組織を採取し,糞便内のIgA量および腸内のIgA産生細胞数を比較した.また,腸内の微生物に結合性を有する糞便中のIgA量を定量すべく,IgA-微生物複合体の数を両マウス間で比較した.【結果】PP欠損マウスでは,PP正常マウスと比較し,離乳直後(3~5週齢)の糞便中のIgA量および腸内のIgA産生細胞数が極めて低値であった.IgA-微生物複合体は,離乳直後のPP欠損マウスでは少数しか確認されなかった.しかしながら,糞便中のIgA量,腸内のIgA産生細胞数および,IgA-微生物複合体数は,11週齢になるとPP欠損マウスにおいてもPP正常マウスと同定度認められた.【考察】離乳直後の腸管で産生されるPP依存的IgAは,腸内環境の形成に深く関与する可能性が示唆された.