[P1-09] 乾乳牛へのルーメン保護リジン給与が出生子牛の栄養代謝状態と発育に及ぼす影響
【目的】乳牛における制限アミノ酸の一つであるリジンの分娩前3週間給与が出生子牛の栄養代謝状態とその後の発育に及ぼす影響を調査した。【方法】分娩予定3週間前のホルスタイン種経産牛にルーメン保護リジン製剤80g(有効リジン量20g)と米ぬか30gの混合物(給与群、22頭)もしくは米ぬか30gのみ(対照群、18頭)を分娩まで毎日給与した。母牛には給与前、分娩1週前および分娩直後に採血を行い、子牛には出生直後(初乳給与前)の採血と出生時体重の測定を行った。雌子牛には8週齢まで週1回の採血と体重測定を行った。血液は代謝物およびアミノ酸濃度を測定した。【結果】給与前の母牛の血中代謝物およびアミノ酸濃度に群間差はなく、分娩直後の血中リジン濃度は給与群の方が高い傾向を示した(P=0.07)。対照群の子牛に比べて給与群の子牛は出生直後の血中総タンパク質濃度が高く(P<0.05)、総アミノ酸、必須アミノ酸および非必須アミノ酸濃度は低かった(全てP<0.05)。出生時体重に群間差はなかった一方で、給与群の雌子牛(7頭)は対照群の雌子牛(11頭)に比べて1〜8週齢の体重が重い傾向にあり(P=0.09)、血中総タンパク質濃度は高かった(P<0.05)。以上より、母牛の分娩前3週間にルーメン保護リジン製剤を給与することで、子牛体内でのタンパク質合成量が増え、哺乳期の増体向上につながることが示唆された。